EP037 Vladimir

目が覚めたのが夜中の3時。時差もあるけど3時なのに外がもう明るくて自然と目が覚めてしまう。時差も現地時間にちょうど2時間くらい遅れているようで移動の速度に体が付いていけてない気がする。ヨーロッパに入ると国ことの時差がそれほどないので落ち着くと思う。

ということで今日も6時には宿を出て出発!目的地はウラジーミル、カザンからは約640km。家を出る時にホストにこれから出るよと連絡してあげた。実はこの宿は泊まる時にデポジットである程度の金額を預ける必要があるのだが、今バイクで旅をしていてロシアのカードも銀行口座も持ってないことを伝えたら預けなくていいと言ってくれたのでできるだけホストに心配かけないようにこまめに連絡してあげた。もちろんお部屋も綺麗に。

出発するのが早かったので朝の渋滞にもはまらず快適。また晴れていて朝6時なのに気温はもう10℃超え!ダウンや防寒装備はもう要らない。気持ちよく走っているとこの旅で初めて道の表示版から「モスクワ(Москва、Moscow)」を見た!ウラジーミルはモスクワ手前の約200kmの所にあるのでかなり近い。ちなみに今回は、モスクワは寄らずにサンクト・ペテルブルク方面に行く予定だ。モスクワは何回か行ったことがあるのと(10年くらい前だが…)渋滞が酷いのであまり入らたくない。

気持ちよく200kmくらい走ってようやく今日の初休憩。道沿いあるガソリンスタンドの看板にコーヒーの写真があったので休憩スペースがあると思って入ってみたら今までのガソリンスタンドの中で一番大きかった。給油機もトラックと乗用車で別れていてその台数も8台以上。

中には清潔感あるカフェと飲食スペースがあって

カウンターと売店のマーケットエリアに分かれていた。どれも綺麗にまとまっていて必要なものはほぼ揃えられている。

またマーケットエリアにも休憩スペースがあって少し寛げることもできる。いつものアメリカンコーヒーとロシアパン。パンの中にはジャガイモとお肉が入っていてボリュームがすごい。これ一つでお腹いっぱいになった。

モンゴルの後はずっと天気がよくてさすがの神様も気を使ってくれたかと思ったらまさかの雨。そういえば昨日洗車したんだ。よくこういうタイミングで雨降るよね。でも旅はこのくらいがちょうどいい。雨の後の晴れた空と綺麗な空気も気持ちいいしね。モンゴル北西部の天気はやり過ぎだけどね。

雨の中をまた200kmくらい走ってガソリンスタンドで休憩しようと思ってバイクを停めたらなかなか素敵なアドベンチャー仕様に仕上がっていた。しかし、あの左側の黄色いガソリンのシミは洗車をしてもなかなか取れない。そのまま染み付いてしまったのか。

どなたかガソリンのシミを取るいい方法を知っている方がいらっしゃったら教えてください。

今回のガソリンスタンドはLukoilさん。ここもなかなか立派な休憩スペースとマーケットが付いていた。西側ではこういうスタイルが主流なのかもしれないね。極東シベリアにもこういう所があったら最高だけどね。

雨の後は必ず晴れがくる。雲の間に注ぐ日差しが気持ちいい。まあこの後また雨が振ってきたけどね。このくらいがちょうどいい。しかし、西に行けば行くほど景色はあまり変わらなくて目新しいものはない。便利さと絶景のトレードオフな感じ。

640kmを走り切ってウラジーミル市内に入ると街はそれほど大きくないが、中世ヨーロッパのような雰囲気街だった。Yandex Mapsが珍しく抜け道のほうを案内してくれた。ロシアの道はだいたい大きくて直線が多いのでナビの案内でもあまり曲がらない。ちなみにロシアにおいてのYandex Mapsの精度は凄まじくてあれほど大きい国なのに工事区間やちょっとした渋滞、信号待ちまでリアルタイムで更新される。また道案内もほぼ完璧だしね。もしロシアで地図アプリでナビしてもらうならYandex Maps一択だと思う。

ここが本日泊まるHotel Vladimir。1950年代に作られた歴史あるホテルで最近リモデリングをしたらしい。名前もそうだが、佇まいもウラジーミルの代表的なホテルだと思う。ウラジーミルは思ったより小さい街でそれほどホテルの選択の幅がなかった。今日の目的地をこの街にしたは単純に距離的にちょうどいい所にあったから。

ホテルに入るとロビーがまたゴージャス!

部屋はStandard Eco Single Roomという一番安いグレードだが、センスよく纏められていて快適だし、綺麗。このモダンなデザインと家具、配置など担当デザイナーは相当腕が良くて施行もロシアでは珍しくすごく完成度が高い。みんないい仕事しているね。

シャワーを浴びてから街に出てみたが、坂道が多くて疲れた体にはちょっとしんどい。とりあえず買い物だけして帰ろう。どうせ時差ボケで明日の朝が早いと思うのでちゃんとした散歩は明日しよう。

ホテル駐車場から見える景色。ずっと森が続いていてその中にポツンとこの街がある感じだね。

今日は久しぶりに雨の中を走ってちょっと疲れたのでゆっくり休もう。

EP011 A370(M60)

午後ホテルで仕事をしていたら通関エージェンシーのGBMから通関が完了したのでウラジオストクの税関に来てと連絡がきた。この日は諦めていたのでもう嬉しすぎる。4時半まで税関ビルの入り口に行ったら今回一緒にロシアに入国したメンバーがすでに集まっていた。そこにGBMのスタッフさんが来てまた税関での最後の支払いが。もう何回支払いしてるのか分からないけどこれが最後!

全ての書類作成完了後に車両の受け渡し用の建物(駐車場)に移動して自分の車が出てくるのを待つ。みんな心待ちにしていた再会の瞬間なのでソワソワしている。

一番最初に出てきたのがジャギョム兄さんのBMW R1200GSA!税関?港?のスタッフさんが乗ってくる。当たり前だが、皆さん運転が上手い。車両の状態を確認して問題なければサインをして受け渡し完了。

他の車が全部出た後に私のDesertXが出てきた!スタッフさんも満面の笑み!そうDesertXは乗ってて楽しいバイクです。

ホテルに帰って旅の支度をして翌日の朝7時に出発した。ウラジオストク市内お渋滞を避けるためにもう少し早く出発したかったが、準備に思ったより時間がかかってしまった。

やっぱりウラジオストク市内は渋滞していたが、朝の7時半だとそれほどひどくなかったので順調に市内を抜けてA370に進入。ロシア連邦道路A370は高速道路と国道が混在しているような形で最高速度110kmから最低速度が30kmまで多様な制限速度があってまた信号もある。特に町に入ると急に制限速度が落ちるので要注意。

1時間半くらい走ってそろそろ休みたい所だがあまり休める所がない。やっとトラック用のパーキングエリアを発見して一休み。前日ウラジオストクのコンビニで買っといたサンドイッチとコーラで朝食を取った。しかし、すごく寒い。現在気温は2℃、ウラジオストク市内ではそこまで寒さを感じなかったが、何もない荒野をバイクで走っているとその冷たい風を全身で受け入れることになる。関東の真冬より寒い。

後ろの青い箱みたいな建物がトイレらしいが、閉まってるらしくてそれ目当てに止まっていた人々がドアが開かないから慌てて次の休憩所に向けて出発していた。

ウスリースク(Уссурийск)を過ぎた辺りから高い山がなくなって平野が広がる。たくさんの白樺の森と広大な湿地に北海道を思い出す。止まって写真を撮りたかったが、路肩が舗装されてない場合が多くて車のスピードが高速道路なみに早いので危なくて諦めた。残念。

スパッスク=ダリニー(Спасск-Да́льний)辺りでいよいよロシアでの初給油。まず給油機の前にバイクを停めてガソリンスタンドの窓口へ行って入れたい油種と容量を行って金額を先に払う。すると給油機が動作するようになって給油を始められる。お願いした分が全部入らなかった場合はまた窓口に行くと残りの分のお金を返却してもらえる。

韓国では満タンに入れようとするとカードで先に約15,000円が先決されるのも面白かったが、ロシアのこの給油スタイルもなかなか面白い。ということはセルフ式のガソリンスタンドがないということなので給油する時間帯には気を付けないとね。ちなみに道路沿いにガソリンスタンドはたくさんあって給油には困らない。

順調に進んでダリネレチェンスク(Дальнереченск)に13時半くらいに着いてしまった。実はダリネレチェンスクはウラジオストクから約420kmくらいの距離にあって初日なので走るのは無理せずにこの辺にしとく予定だったが、着くのがあまりも早すぎた。ここでお昼食べてもう少し進もう。その前に記念によさそうなモニュメント(ステラ・ダリネレチェンスカ)があったので写真を一枚撮っていたら

人のよさそうなおじさんがわざわざ車を停めて声をかけてきた。旅人定番の「どこから来たか?」「どこへ行くのか?」「このバイクはどこの?」などの話題なので言葉は通じなくても全然大丈夫。ちょうどお昼を食べれる所を探していたのでおじさんに美味しいお店があったら紹介してと言ったら自分が車で先導するから付いてきてと。

約1kmくらいを走って案内されたのがこのフィエスタ(Фиеста)。一人で行ったら絶対入らないだろう外観だった。おじさんとはここでお別れ。本当にありがとうございました。

店内はたくさんのお客さんで賑わっていていかにいい店なのかがよく分かる。入った後も次から次へとお客さんが入ってきた。

注文はあのカウンターでメニューを見ながら頼むのだが、英語や写真付きのメニューなどはあるわけがない。とりあえず唯一知ってるロシア料理のボルシチとライス類を頼もうとしたけどうまく伝わらず、でも注文を受け取ってくれたお姉さんがすごく親切で色々聞いてたくさんアレンジしてくれた。

これが本物のボルシチ!スープが奥行きがあって芯まで染みる。こんなに美味しいボルシチは初めて。

もう一品は「ライス」と言ったらロシア語では「リス」と言うんだと教えてくれながら色々アレンジしてくれた料理。あの肉は多分シャシリクかな?これもまたスパイスが効いて美味しい。

いつも食べるお昼より量は少し多かったが、美味しすぎたので完食!食べるとまた元気が出る。

しかし、ダリネレチェンスクを出てすぐ工事区間が始まった!工事と言ってもこれ車通していいの?くらいの荒業でほぼ砂利道で深い砂利にハンドルが取られて何回も倒れそうになった。お昼をしっかり食べなかったら乗り越えられなかったかもしれない。この写真は途中エンストしてスタックしてた時。ここでの脱出に役に立ったのが以前TOSで学んだ半クラッチ。

このくらいでビビってモンゴルで走れるだろうか?心配になってきた。

ダリネレチェンスクの次に目星を付けていたビギンのAzhurというホテルに到着したが、満室で部屋がない。Yandexのレビューがよかったのでここにしたが、みんな考えることは同じ。その近くの宿にも行ってみたが、そこもお客さんでいっぱい満室だった。周辺にはそれ以上ホテルがなくて途方に暮れる。

仕方ないので100km先の次の町に行ってみよう。ただ、そこにも空いてる部屋があるという確信もなくて不安だらけ。最悪ハバロフスクまで行くか、露宿。

やっとの思いでヴャーゼムスキー(Вяземский)のM60というホテルに着いた。ドキドキしながら聞いてみたら空いてる部屋があると!嬉しい!嬉しすぎる。この辺の他の宿に比べたら少し高めだが、そんなの関係ない。本当に救われた感じ。

宿所は受付がある建物の後ろにあってしっかりした鉄のドアで守られていたのでバイクの駐車も安心。

オーナーが女性で室内もオーナーの感性が光っていて可愛らしい部屋だった。それよりも雨と風を凌げる暖かい部屋が確保できたのが嬉しすぎる。

ウラジオストクからここまでなんと630km!長い一日だった。