イニゴさんは以前ロシアのビイスクで会ったフランス人のライダーで私はモンゴルから出てヨーロッパに向かう途中で彼は反対にヨーロッパからモンゴルに向かう途中だった。夜一緒にビールを飲みながら色々情報を交換して次フランスのボルドー辺りに来たら連絡してと言われたけどそれが本当に実現できるとはその時はあまり思ってなかった。モンゴルを出たばかりだったのであまりヨーロッパというのが現実味がなくて漠然とした未来のこととしか。

スペインを回っていよいよボルドーに行く日が近づいた時に彼に連絡したらぜひ家に来て泊まって行ってと言われたのでまた遠慮なくお邪魔することにした。多分イニゴさんに会いに行くのが今回のフランスでの旅のハイライトかもしれない。

前回会って話した時はワイナリーの醸造責任者だと思っていたが、実はこのワイナリーのオーナーでかなりの資産家であることが判明。このプールが付いている自宅も彼の所有だった。すごすぎる!

2階にあるこの素敵な個室を用意してくれて好きなだけ泊まっていけと。これはあの辺のリゾートホテルより立派で快適なお家だった。


家全体にアート作品や芸術的な映画のポスターが飾られていてこれは奥さんのイザベルさんの趣味らしい。その一つ一つがセンスがよくて素敵。

この日は非常に暑かったのでみんなでビールを飲みながらプール遊びから。これこそセレブという感じのライフスタイル。

プール遊びの後は早速晩ごはんの支度へ。まずはワイン選びから。さすがフランスのワイナリーのオーナーだけあって白ワインを2種類、甘口と辛口を用意してくれて味見をして口に合うものを選ぶようにしてくれた。なんと贅沢な晩ごはんのスタート。食事にはドライなのが合いそうだったので辛口に。

ここはフランス、食事はまずアピタイザーから。トマトとアボカドのサラダが食欲をそそる。オリーブオイルも3種類くらい出してもらって好みに合わせてかけて食べる。


メインはイザベルさんが作ってくれた魚の料理で白身魚とジャガイモをオーブンで焼いた料理。淡白な味わいでドライな白ワインと非常に合う。さすが!
晩ごはんを食べながら旅の話で盛り上がった。イニゴさんはその後モンゴルに向かったが、ロシアのタシャンタボーダーで気温がマイナス5℃まで落ちて雪まで降ってきたのでモンゴル行きを諦めてパミール高原へ。そこでリア・サスペンションが壊れてしまってトラックにバイクを載せて移動した後にサスペンションのスプリングの間にゴムを挟んでなんとか自走できるようにして一日1,000km以上を走ってトルコを経由して家までたどり着いたらしい。すごすぎる。
食べて飲んで笑ってたくさん話して再会とディナーを楽しんだ。

次の朝、イニゴさんが自分のワイナリーを見せてくれた。ぶどう畑は全部で12ヘクタール所有していてここでは結構大きい規模らしいが、メドックだと小さい方に入るらしい。ここから見渡せるぶどう畑はすべてイニゴさんのもの。

今のところ、今年は順調らしくてこのままいけばいいワインができそうと言っていた。収穫は品種によって9月から10月に分けてやるらしいが、12ヘクタールをたった3日で終わらせるらしい。

あの木はイニゴさんのぶどう畑の象徴的なものであえて切らずにそのままにしているらしい。ぶどうもこの木を避けるようにして植えてある。

ここは植えたばかりのぶどうの木でこちらも順調らしい。植えたばかりの木から樹齢50年からかなりバラエティーがあった。

こちらが醸造施設で収穫を終えたぶどうをステンレスタンクに入れて発酵を進める。発酵が終わったらまた別のタンクに移動させて約2年間熟成させるらしい。すべての管理は電子化されていてかなり現代的なワイナリーだった。たった2人の正社員がこの全てを管理しているらしい。

出来上がったワインをボトルがラベル貼りを待っていた。

ラベルも全部機械で貼ってそのままダンボールに入れて出荷する。イニゴさんところは小売はやってなくて全部ネゴシアンのところに下ろしているらしい。
やっぱりワイン作りには手間がかかるね。できれば収穫時期に訪れて実際の全過程を見てみたい。

ワイナリー見学の後はイニゴさんが大好きな町、サン・テミリオンへ。

サン・テミリオンは観光客で賑わっていて日本人の方も結構いた。この旅で韓国人や中国人の観光客はたくさん見たが、日本人はあまり見ることができなかった。やっぱり皆さんワインが好きなのかな?

中世の景観をそのまま維持している町はアップダウンが激しくてその路面も昔のままの石になっていた。またどこに行ってもワイン屋がたくさんあった。

町の風景が1500年代だと言っても信じちゃうくらい昔のままだった。今までのオルドタウンと違って本物の感じ。

またイニゴさんの家に戻ってランチ。昨夜は魚を食べたので今日は肉をと豚肉のステーキを焼いてくれた。庭にはバーベキュー専用のコンロが2台もあって肉や魚をいつでも焼けるらしい。イニゴさんは豚肉が好きらしいのでいつかサンギョプサルを一緒に食べに行きたいね。

肉にはやっぱり赤ワイン。このワインはイニゴさんが直接作ったワイン。

シンプルに塩と胡椒だけで味付けした豚肉のステーキと

イニゴさんが作ったワインで食べるランチは贅沢そのものだった。
ランチを食べながらまたイニゴさんとたくさん話しをした。イニゴさんのスペイン出身で7歳くらいに両親が離婚してお母さんが5兄妹を連れて仕事を探しにフランスに渡ったらしい。イニゴさんのお母さんはフランス語を話せなかったが、皿洗いや掃除などたくさんの仕事をこなして5兄妹を立派に育ててあげてしっかり勉強もさせてくれた。そのお陰でイニゴさんは大学で修士まで取ってその後は30年以上不動産仲介会社を経営して夢だったワイナリーまで手に入れた。その仲介会社を売却して仕事からはすべて引退してすべての争いから離れて今はこの家で平和に暮らしている。もうこれ以上求めるものはなくてただただ穏やかに暮らしてたまに旅行をしてこれからの残りの人生を楽しく生きていく。なんと理想的な引退の仕方なんだろう。
またイニゴさんから理想的な生き方を一つ学んだ。この旅行を通じてたくさんの人にあってそれぞれの行き方、考え方でたくさんのことを学んでいる。これだけでもこの旅に出て本当によかったと思う。