EP017 Ulan-Ude

22時を回って眠さと戦っているときに突然部屋の電話が鳴った。出てみると男性の低いトーンのロシア語で何か言っているけどよく分からない。ホテルに泊まっているとたまに警察が調査に来る場合もあるらしいので緊張したが、そうではないっぽい。ロシア語が分からないと伝えたらフロントの英語ができるスタッフさんが出て「バイクがセキュリティ的にあまりよくない」と言う。どういうこと?何かあったのか?状況がよく分からずフロントに行ってみたら、ホテルの前に停めてあるDesertXの周りにずっとギャラリー(?)ができているのでホテルの裏側の鉄柵がある駐車場に移動してくれないかとのことだった。ホテルに着いた時にセキュリティの方からホテルの前に停めろと言われたのだが…。まあより安全な所に駐車できるのであればそっちのほうがいいのに決まっているので移動させるけどね。

実はDesertXに群がるギャラリーの方は昼間から結構いたけど皆さん見ていて話しているだけで特に触ったりしてなかった。またホテルの駐車場なのでカメラでしっかり監視されていたので特に気にしてなかったが、夜勤のセキュリティの方がずっとバイクを気にしなくちゃいけなかったらしくて移動してほしいと言ったらしい。

朝先に荷物を積んでおくために裏側の駐車場に行ってみるとゴツいランドクルーザーと仲良く停まっていた。ちなみにここに停めるには追加で駐車料金が300ルーブルかかる。

ホテルに朝食も付いていたのでレストランに行ってみるとなかなか豪華な感じのエレガントな空間だった。今までのシベリアのホテルは各が違う。これが大都会チタか。

朝食はビュッフェスタイルで料理の数やクオリティもしっかりしていた。スタッフさんもちゃんと付いていて色々対応してくれたので少し感動した。シベリアのど真ん中でこんなサービスが受けられるとは!

ちょっとテンションが上がりすぎたのかご飯も盛りすぎちゃった。中華系の料理も多かったが、このホテルには中国系の方がよく来るらしい。

朝食を食べ終わって部屋に戻る途中。やっぱりこの廊下はすごく気になる。なんでここまで広く設計をしたのか?昔は廊下の広さが高級ホテルの基準だったのかな?

8時半には支度を終えてホテルを出た。チタ市内を抜けてR258まで行くのが地味に辛い。市内は制限速度が細かく変化するし、横断歩道も多いので車が少なくても速度は出せない。ロシアでは制限速度がすごく細かく設定されていてそこにはちゃんと理由があるので従ったほうがいい。特に路面の状況もきちんと反映されているので制限速度を無視して飛ばしたら物理的に痛い目に会う可能性が高い。

市内を抜けるとそこにはまた大陸が広がっていて自分がシベリアの真ん中をバイクで走っているのを実感する。もう白樺の森はなかった。これは少し残念。

チタからは結構集落も多くてガソリンスタンドも多い。でも今までの経験があるからやっぱり疑っちゃうね。ありそうに見せかけてなかったりする場合もあったし、ガソリンスタンドはあったのにガソリンがない場合もあったのでできるだけこまめに注油するようにしている。

ついでにトイレにも寄ったが…詳しい説明はしないが、シベリアで一番恐ろしいのがこういう屋外式トイレ。ここはまだ綺麗な方だったが、匂いがキツくて大変。

ロシアのガソリンスタンドは先に受付に行って油種と量を言って料金を決済しなくちゃいけないが、ロシア語が喋れないのでこのようにLarge Textというアプリを利用して項目を入力して見せている。4は給油機の番号、95はオクタン価、10Lは入れる容量。

ガソリンスタンドを出てまた一走り。目的地のウラン・ウデまでは660kmの道のりなので気を長くして走らないといけない。シベリアを約3,500kmくらい走って分かったのは今までの自分のライディングフォームにどれだけ無駄が多くて余計な力が入っていたかということだ。もちろんそれは道路の状況や混み合い、信号など色々状況が違うのだが、疲れずに長く走るためにはどれだけ力を抜くかが大事だと思う。シベリアを走る時は全身の力をできるだけ抜いてバイクにただ体を載せていることを意識している。自分はバランスだけを取って他の全てはバイク任せ。そうしているとDesertXがどれだけいいバイクなのかがよく分かってくる。またこんなに素敵な景色の中を走れて幸せ。

ちょうどいいタイミングにカフェを見つけたので入ってみた。駐車場に小さい男の子とそのお父さん、またおじさんが一人いて声をかけられたので少し談笑。男の子がバイクにすごく興味があるようでキラキラした目で見てたので「またがってみるか?」と誘ってみたが、お父さんから「大丈夫。遠慮する」と言われた。男の子と握手をしてお店の中へ。

受付で写真を見せながら注文したボルシチに麺が入っているような料理。麺は刀削麺に近い感じかな?弾力があってもちもちして美味しい。スープはボルシチそのものだった。美味しい。それにコーヒーも付けて140ルーブル!めちゃくちゃ安くて美味しいお店だった。

で、注文を終えて席に戻ってきたらさっき駐車場で談笑してたおじさんが当たり前のように目の前に座っていた。彼の名前はアンドレイ、イルクーツクまで行くらしい。会話は基本Google翻訳を通してだけど少し時間をかければ難なく話ができる。旅のことやロシアに来て感じたこと、シベリアを走って分かったことなど色々話せて楽しかった。

アンドレイさん、楽しい時間をありがとうございました。

また順調に走っていたら集落が現れたが、今までの集落と雰囲気が違う。密度も高いし、青と緑の壁が印象的だった。また窓の形も今までと違う。そう、もうブリヤート共和国に入ったようだ。

集落を過ぎてパーキングエリアがあったので停まろうとしたが、トラックが多すぎてちょうどいいスペースを見つけられなかったので路肩に停めるしかなかった。やっぱり路肩だと通り過ぎるトラックが怖い。パーキングエリアから見える景色も雰囲気も今までのシベリアの道とガラッと変わっている。やっぱりロシアは大きいね。

R258をずっと走ってウラン・ウデまで約97km、峠を超えたら目の前に広がるスペクタクルな風景に強い衝撃を受けた。こんな絶景があるのか!こんな規模感は感じたことがない。草原と山と丘にどこまでも広がる地平線、全てが美しすぎた。少し危険でも路肩にバイクを停めて写真を撮りたかったが、急な下り道で路肩の幅も狭くてかなり危険だったので諦めるしかなかった。普通ならこういう所に展望台などを設置すると思うが…。Goproで映像を残したからいいやと思ったが、後で確認した映像はのっぺりして奥行きもなくてそのスペクタクルさがあまり伝わってない。残念。自分にとっては一緒忘れられないくらいのすばらしい壮観だった。

ウラン・ウデまで後50kmくらいの所。また景色が変わってきた。久しぶりの川沿いのワインディングロードが気持ちいい。

お!やっと市街地っぽい所が出てきた。また今まで見てきたシベリアのどの都市とも違う。これもモンゴルに近い感じなのか?人口密度も高そう。

と思ってたら本当のウラン・ウデの市街地はそんなものではなかった。これはまた大都会!都市の規模としてはハバロフスクくらいなのか?でもハバロフスクより綺麗で洗練されている。さすがブリヤート共和国の首都なだけあった。

今日の宿はホテル ブリアティア。安さで選んだが、ウラン・ウデの中心街のど真ん中に位置してすごく立派なホテルだった。

部屋はコンパクトだが、清潔感があって申し分ない。これで一泊1,900ルーブル!シベリアで泊まったホテルの中で一番安い!ウラン・ウデは宿泊費が安いのかもしれない。ここでは二泊の予定。

ホテルが中心街にあるので食堂も困らない。近くに評判がいいカフェがあったので行ってみたら本当のカフェでロシア式のカフェ(食堂に近い)ではなかった。若者に人気のお店でファストフードな感じだった。せっかくなのでアンドレイさんオススメのブリヤート名物ブーズを頼んで食べてみた。確かに美味しい。

一日に660kmはやっぱり疲れるが、できなくはなかった。妙な達成感もあるし…でもここまではあまり走りたくないね。

明日は軽くバイカル湖を見に行く予定だが、もしかすると軽くないのかもしれない。

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