EP002 Panstar Cruise

川崎から大阪までの約500kmを走り抜けて、DesertXとも少しは打ち解けたつもりだった。ところが、前夜に泊まった堺浜楽天温泉 祥福から大阪国際フェリーターミナルまでのわずか10kmで、なぜか機嫌がツンツン。ギアが渋く、とくにニュートラルが入りにくい。購入時からの持病で、慣らし後は落ち着いたと思っていたのに、また悪化。まあ、そのうち良くなるだろう。

余裕を持って出たつもりが、大阪の湾岸線は想像以上の混雑。大型トラックも多く、気を遣う。定刻どおり大阪国際フェリーターミナルに着き、駐車場にバイクを止めて受付で「バイクで韓国に行きます」と伝えると、スタッフが二人がかりで税関エリアへ案内してくれた。少し待つと職員が来て、書類と荷物をさっと確認して無事クリア。出国側はチェックが比較的ゆるいのかもしれない。

手続きが終わっても出発まで時間があったので、3階のラウンジへ。最近リニューアルしたらしいが、人影はなく、どこか寂しい。ただ、きれいで広々としていて居心地はいい。

キレイで広々していて快適な空間だった。

チャンスとばかりに荷物を広げ、溜まったタスクを片付ける。まだもう少しコンパクトにまとめる練習が必要だ。リラックスしすぎたのか、連絡に来たパンスターフェリーのスタッフを少し驚かせてしまった。反省。

13時を過ぎて乗船案内が始まる。バイクは別ラインで誘導され、真っ先にチェックイン。他の乗客はバス移動らしい。今回はバイクが自分だけで、船内の駐車スペースも余裕たっぷり。先頭に停められたので、下船も楽そうだ。

バイクを停めると、船のスタッフが客室エリアまで付き添ってくれた。ちょっとしたVIP待遇で、むしろ申し訳ない。鍵はロビーのカウンターで受け取る方式。大人しく列に並んでいると、横から韓国のおばさまたちがスッと割り込んでくる——あ、ここはもう韓国だ、と悟る。するとスタッフのお姉さんが「順番にご案内します」と制して、まず私のチケットを確認し鍵を手渡してくれた。これもまた強い。向かう先では、さらに強いバイタリティが求められるのかもしれない。

今回の部屋はスタンダードルームB。定員2名の個室をひとりで使う。二段ベッドにテーブルと椅子、テレビもあり、航海中は韓国の番組が流れていた。清潔で小洒落た空間で快適。ここでも写真を撮るやいなや、すぐに荷物を広げて自分仕様にする。

船内は、雰囲気も店も人も、まるで韓国そのもの。乗客も9割以上は韓国の方だろう。下関発だとまた違うのだろうか。

夕食は18時半開始のはずが、18時前から大行列。韓国では食事をしっかり取ることが何より大切で、挨拶も「ご飯食べた?」が定番だ。時間に余裕があると踏んで一度部屋でくつろぎ、少し早めに食堂へ戻ると、もう配膳が始まっていた。まだ18時15分なのに。これもまた韓国らしい。

慌てて列に加わる。ビュッフェ形式だが、皆さんの勢いがすごい。料理はすぐに空になり、スタッフがせっせと補充する。このエネルギッシュな光景に、なぜだか少し胸が熱くなる。

つられてこちらも取りすぎた。味は本格派で、どれもなかなか美味しい。気づけば満腹。

団体客が多かったこともあり、場はさらに熱気を帯びる。日本の“ふつう”とは、どこか違う。文化の違いなのか、このエネルギーはどこから来るのだろう。背後ではおばちゃんが突然歌い出し、また驚かされる。

もしかすると、この旅で自分が求めているのは、こうした“生命力”なのかもしれない——そんな気がした。まだ出発して間もないのに、感じることがいくつもある。