EP077 Inigo

イニゴさんは以前ロシアのビイスクで会ったフランス人のライダーで私はモンゴルから出てヨーロッパに向かう途中で彼は反対にヨーロッパからモンゴルに向かう途中だった。夜一緒にビールを飲みながら色々情報を交換して次フランスのボルドー辺りに来たら連絡してと言われたけどそれが本当に実現できるとはその時はあまり思ってなかった。モンゴルを出たばかりだったのであまりヨーロッパというのが現実味がなくて漠然とした未来のこととしか。

スペインを回っていよいよボルドーに行く日が近づいた時に彼に連絡したらぜひ家に来て泊まって行ってと言われたのでまた遠慮なくお邪魔することにした。多分イニゴさんに会いに行くのが今回のフランスでの旅のハイライトかもしれない。

前回会って話した時はワイナリーの醸造責任者だと思っていたが、実はこのワイナリーのオーナーでかなりの資産家であることが判明。このプールが付いている自宅も彼の所有だった。すごすぎる!

2階にあるこの素敵な個室を用意してくれて好きなだけ泊まっていけと。これはあの辺のリゾートホテルより立派で快適なお家だった。

家全体にアート作品や芸術的な映画のポスターが飾られていてこれは奥さんのイザベルさんの趣味らしい。その一つ一つがセンスがよくて素敵。

この日は非常に暑かったのでみんなでビールを飲みながらプール遊びから。これこそセレブという感じのライフスタイル。

プール遊びの後は早速晩ごはんの支度へ。まずはワイン選びから。さすがフランスのワイナリーのオーナーだけあって白ワインを2種類、甘口と辛口を用意してくれて味見をして口に合うものを選ぶようにしてくれた。なんと贅沢な晩ごはんのスタート。食事にはドライなのが合いそうだったので辛口に。

ここはフランス、食事はまずアピタイザーから。トマトとアボカドのサラダが食欲をそそる。オリーブオイルも3種類くらい出してもらって好みに合わせてかけて食べる。

メインはイザベルさんが作ってくれた魚の料理で白身魚とジャガイモをオーブンで焼いた料理。淡白な味わいでドライな白ワインと非常に合う。さすが!

晩ごはんを食べながら旅の話で盛り上がった。イニゴさんはその後モンゴルに向かったが、ロシアのタシャンタボーダーで気温がマイナス5℃まで落ちて雪まで降ってきたのでモンゴル行きを諦めてパミール高原へ。そこでリア・サスペンションが壊れてしまってトラックにバイクを載せて移動した後にサスペンションのスプリングの間にゴムを挟んでなんとか自走できるようにして一日1,000km以上を走ってトルコを経由して家までたどり着いたらしい。すごすぎる。

食べて飲んで笑ってたくさん話して再会とディナーを楽しんだ。

次の朝、イニゴさんが自分のワイナリーを見せてくれた。ぶどう畑は全部で12ヘクタール所有していてここでは結構大きい規模らしいが、メドックだと小さい方に入るらしい。ここから見渡せるぶどう畑はすべてイニゴさんのもの。

今のところ、今年は順調らしくてこのままいけばいいワインができそうと言っていた。収穫は品種によって9月から10月に分けてやるらしいが、12ヘクタールをたった3日で終わらせるらしい。

あの木はイニゴさんのぶどう畑の象徴的なものであえて切らずにそのままにしているらしい。ぶどうもこの木を避けるようにして植えてある。

ここは植えたばかりのぶどうの木でこちらも順調らしい。植えたばかりの木から樹齢50年からかなりバラエティーがあった。

こちらが醸造施設で収穫を終えたぶどうをステンレスタンクに入れて発酵を進める。発酵が終わったらまた別のタンクに移動させて約2年間熟成させるらしい。すべての管理は電子化されていてかなり現代的なワイナリーだった。たった2人の正社員がこの全てを管理しているらしい。

出来上がったワインをボトルがラベル貼りを待っていた。

ラベルも全部機械で貼ってそのままダンボールに入れて出荷する。イニゴさんところは小売はやってなくて全部ネゴシアンのところに下ろしているらしい。

やっぱりワイン作りには手間がかかるね。できれば収穫時期に訪れて実際の全過程を見てみたい。

ワイナリー見学の後はイニゴさんが大好きな町、サン・テミリオンへ。

サン・テミリオンは観光客で賑わっていて日本人の方も結構いた。この旅で韓国人や中国人の観光客はたくさん見たが、日本人はあまり見ることができなかった。やっぱり皆さんワインが好きなのかな?

中世の景観をそのまま維持している町はアップダウンが激しくてその路面も昔のままの石になっていた。またどこに行ってもワイン屋がたくさんあった。

町の風景が1500年代だと言っても信じちゃうくらい昔のままだった。今までのオルドタウンと違って本物の感じ。

またイニゴさんの家に戻ってランチ。昨夜は魚を食べたので今日は肉をと豚肉のステーキを焼いてくれた。庭にはバーベキュー専用のコンロが2台もあって肉や魚をいつでも焼けるらしい。イニゴさんは豚肉が好きらしいのでいつかサンギョプサルを一緒に食べに行きたいね。

肉にはやっぱり赤ワイン。このワインはイニゴさんが直接作ったワイン。

シンプルに塩と胡椒だけで味付けした豚肉のステーキと

イニゴさんが作ったワインで食べるランチは贅沢そのものだった。

ランチを食べながらまたイニゴさんとたくさん話しをした。イニゴさんのスペイン出身で7歳くらいに両親が離婚してお母さんが5兄妹を連れて仕事を探しにフランスに渡ったらしい。イニゴさんのお母さんはフランス語を話せなかったが、皿洗いや掃除などたくさんの仕事をこなして5兄妹を立派に育ててあげてしっかり勉強もさせてくれた。そのお陰でイニゴさんは大学で修士まで取ってその後は30年以上不動産仲介会社を経営して夢だったワイナリーまで手に入れた。その仲介会社を売却して仕事からはすべて引退してすべての争いから離れて今はこの家で平和に暮らしている。もうこれ以上求めるものはなくてただただ穏やかに暮らしてたまに旅行をしてこれからの残りの人生を楽しく生きていく。なんと理想的な引退の仕方なんだろう。

またイニゴさんから理想的な生き方を一つ学んだ。この旅行を通じてたくさんの人にあってそれぞれの行き方、考え方でたくさんのことを学んでいる。これだけでもこの旅に出て本当によかったと思う。

EP076 Medoc

せっかくのボルドーなのでメドックの五大シャトーに行ってみることにした。正直に言うと今までボルドーはあまり飲んだことがなくて五大シャトーと言ってもシャトー・ラトゥールしか飲んだことがないが、いい機会なので勉強も兼ねて。

一番先に向かったのはシャトー・マルゴー。ボルドー市内から一番近かったから。実は前日のレストランにシャトー・マルゴー1991もあったが、結局コシュ・デュリのムルソーを飲んでしまった。シャトー・マルゴーを飲んどけばよかったと軽く後悔。

シャトー・マルゴーのワイン畑は太陽に輝いていた。メドック全体的にそうだが、広い平野の中のぶどう畑が見晴らしがよくて気持ちいい。

日曜日ということもあって中へは入れなかったが、遠くから記念撮影。

次に向かったのはシャトー・ラトゥール。唯一飲んだことがある。後ろの塔は14世紀中頃に要塞として建設されたらしい。もう少し進みたい所だが、途中鉄柵があってそれ以上行くことができなかった。

しかし、そこでUターンしようとしたら道幅が狭くて立ちごけしてしまった。結構暑かったし、一人だと色々厳しかったので100mくらい先のあるレストランにいたこの方に助けてもらった。本当にありがとうございました。

その次にシャトー・ラフィット・ロスチャイルドに行ってみたが、ここは敷地が広くて結構遠くから閉まってあったので写真すら撮ることができなかった。残念。

まだ3ヶ所しか回ってないが、気温が30℃を超えて結構暑かったのとお腹が空いてきたので五大シャトー回りはここで丹念。

日曜日だと田舎のほうのレストランはあまりやってるところがなくて約1時間くらい探し回ってやっと川沿いに15時まで営業しているレストランを見つけた。着いたのが14時半とギリギリだった。

ここでもムール貝を頼んだ。ボルドー辺りではムール貝が推しなのかもしれない。味付けは弱めで素材の味を活かして新鮮で美味しかった。

〆はやっぱりエスプレッソ。最近はエスプレッソを飲まないと食事が終わった気がしない。

食事を終えてInigoさんの家に向かった。レストランからは約2時間の距離。

EP075 Bordeaux

ビアリッツからボルドーまでは約200kmと比較的に近いのとその間にランド・ド・ガスコーニュ自然公園があるので高速を使わずに下道で行くことにした。

森の中をずっと走っていたらまた大きい農園が出てきた。この辺は山がなくて平野が広がっていてずっと真っ直ぐな道が続いている。長閑な田舎道が気持ちいい。気温も25℃くらいで湿度も高くなくてバイクで走るのにちょうどいい。

約100kmくらい走ったところでちょっと休憩。静かな田舎町で外を歩いている人は誰もいなかった。このまま日陰で少し昼寝でもしたいくらい居心地がいい。

向かい側の家がまた素敵。この辺では庭が広い家が多くてその豊かさが羨ましい。オーストリアやドイツの田舎町はすごく綺麗で草一本まで管理されているのではないか思われるくらいの完璧さだが、フランスはそれに比べるとすごく自然的で伸びるものは伸びてどこか大雑把だけどそれが人間味があって好き。

昼時だったので適当に入った田舎のレストランが美味しすぎてビックリした。ムール貝が食べたくて頼んだらお店のお母さんがブルーチーズが入っているけど大丈夫?と聞かれた。最初はやっぱり匂いがキツくてやっちゃったと思ったが、食べてみるとこれがすごく美味しい!ムール貝とブルーチーズはすごく合うのね。知らなかった。

このまま白ワインでも頼んで今日はここで泊まりたいくらい。

メインプレートは魚料理をチョイス。焼き魚そのものは淡白だけど雑味が無くて少しスパイシーなソースと絡めて食べるとそれがまた絶品。シンプルだが、そのレベルが相当高い。さすが、フランス!

食後にコーヒーを頼んだら当たり前にエスプレッソが運ばれてきた。最近はエスプレッソに慣れてしまって普通のコーヒーだと物足りなさを感じるようになった。この深みがいい。

食事を終えて駐車場に戻ってきたら少女が木の下の日陰で本を読んでいた。その姿にすごく余裕があってその雰囲気に感銘を受けてしまった。これがフランスの田舎。素敵すぎ。

ボルドーに行って真っ先に向かったのはDucati Bordeaux。隣がトライアンフで経営会社が同じらしくてメカニックの方はトライアンフのMoto2のTシャツを着ていた。以前はThruxtonに乗っていてTriumphさんに相当お世話になったので嬉しさもあって懐かしい。

店内も広々して綺麗。またDucatiらしい内装になっていて格好いい。

ここに寄ったのは数日前に空気圧を調整してたらエアバルブキャップがどっか行っちゃったから。それほど影響するものではないが、気になったので。スタッフさんにエアバルブキャップがあるか聞いたらすぐ持ってきてくれた。他の手続きなどなしにクールにキャップをただでくれた。格好良すぎ!

ボルドーのシティセンターのほうに入るとここもやはり旧市街地が広がっていた。ヨーロッパの都市のこういう雰囲気はたまらない。

無事ホテルにチェックイン。ここはレジデンスタイプで小さいキッチンも付いているので使い勝手がよさそう。せっかくのボルドーを満喫するために2泊の予定。

チェックイン時にスタッフさんが今週末がボルドーワイン祭りだと教えてくれた。お!これは全く知らなかったし、狙ってもないのに相当付いているね。昨日のビアリッツのWheels and Wavesもそうだったし、今年使う運をフランスで全部使い果たしているのかもしれない。

ボルドーワイン祭りが今日と知ったら居ても立っても居られなくなってシャワーと着替えを終えたらすぐイベント会場に向かった。聳え立つPorte d’Aquitaineはボルドーの象徴的な存在。

亀のブロンズ像も印象的。なんでここに亀がいるのかは分からないが、なぜかこの景色と非常にマッチしている。

商店街の中を真っ直ぐ歩いて行く。建物がちょうど日陰を作ってくれていて歩きやすい。気温はさほど高くないのに日差しが強くて日陰じゃないと歩くのがキツい。

20分くらい歩いて会場に到着。ブルス広場の前、ガロンヌ川沿いでやっていた。22ユーロのチケットを購入すると携帯用のワイングラスと11杯の試飲ができるパス、交通機関のパスがもらえる。

もう会場にはたくさんの人で賑わっていた。大人だけではなくて家族連れで来てる方も多かった。

気になるワインがあったらワインをお願いして試飲カードを渡すと専用端末でチェックをしてカウントをプラスする仕組みになっている。

ボルドーワインはあまり詳しくないのでとりあえずオススメをいただく。注ぎながらそのワインに関してあれこれ説明をしてくれる。

よく分からずデザートワインも頂いちゃった。ちょっと順番が早かったね。

このお兄さんがデザートワインが残っているとその味が強くて他のワインの味を邪魔すると言って綺麗に洗ってからワインを注いでくれた。ナイスガイ!

たくさんの人がワインを試飲してそのワインのことに興味を持つようになってまたファンなっていく。ボルドーならではのすごくいい祭りで楽しい。

簡単なフードを売っているブースもあってみんなそれを買って日陰に集まってワインと一緒に楽しむ。いいね。やっぱり祭りはみんなで楽しむのが一番。

早めにボルドーワイン祭りを後にして次の目的地へ。長い夕日が作ってくれるコントラストが美しい。歩くのはやっぱり日陰。

向かったのはボルドーで一番ワインリストが豊富なL’univerre。ここも石田さんが教えてくれた。週末は休みらしくてこの日しか行くチャンスがなくて予約もしてないので営業時間より少し早めに到着した。

30分くらい早かったけどまず飲み物なら出せるというのでテラス席でワインリストをいただいてチェック。本当に本一冊分くらいのリストがあって選ぶのが大変。まあそれがまた楽しいけどね。

せっかくのボルドーなのでボルドーワインを選びたかったが、コシュ・デュリのムルソーがなんと日本の1/3くらいの値段だったのでこれを頼むしかなかった。

2020と非常に若いのにグラスに注ぐ瞬間から芳醇な香りが広がる!もう最高すぎる。でもやっぱり若いのもあってまだちょっと硬かった。これはゆっくり時間をかけて飲まなくちゃ。

サーディンと

仔牛の炒めにトマトとチーズ。白ワインには少し重い構成だが、コシュ・デュリのポテンシャルでなんとか克服。魚のメニューが一つあったが、それがホワイトツナだった。あまり馴染みがなかったので仕方なくこれを頼んだ。白身の刺し身が欲しかったな。

〆はジャスミンティーをお願いしてそれで終わりかと思ったら

コニャックを一杯サービスしてくれた。これもぜひ味わってほしいと。リーズナブルでワインリストも豊富で料理も美味してサービスもいい最高のお店だった。

ワインが開くのを待ちながらちびちび飲んでいたら一人で3時間も長居してしまった。帰りはすっかり暗くなっていた。暗い夜道を歩くのもかなり久しぶりのような気がする。ヨーロッパやロシアでは11時くらいにならないとこんなに暗くならないからね。

ボルドーでまたワイン三昧、やっぱりフランスが一番好きかもしれない。