2013年。会社は黙って加速していた。誰もがそれを成長と呼び、私はただ次の便に乗った。
台北、バンコク、ニューデリー、モスクワ、キーウ、メキシコシティ、サンパウロ、ブエノスアイレス。スタンプは増え、地球は四周ぶん小さくなった気がした。
やることはどこでも同じだ。
ちゃんとしたホテルにチェックインして、朝は車でオフィスへ行き、会議室でコーヒーを飲み、資料を直して、夜はまた部屋に戻る。
旅というより、よくできた定規の上を歩くみたいな日々だ。まっすぐで、誤差がない。
いちばん長くいたのはインドだった。通算で五か月くらい。ムンバイの Taj Lands End。海風に塩気が混じる。
昼は連携先のオフィスを回り、夜はホテルの部屋でパソコンの光だけを頼りに仕事を続ける。オフの日は、休むと決めて、本当に休む。外へは出ない。エレベーターの匂いさえ、日常の一部になっていく。
ケーブルテレビでは少し古いヒーロー映画がよく流れていた。
私はそれを待ちながら、どこかで別の映画が始まるのを期待していた。
出張じゃないやつ。筋書きのない冒険。地図の端が少し破れているような旅。
ある夜、中華レストランで出てきたフォーチュンクッキーを割ると、小さな紙片が現れた。

Your “impossible” dream may become a reality.
その文を気に入って、今も財布の隅に入れている。角は少し丸くなった。触るたびに、微弱な電流みたいなものが指先を走る。
それから十年、僕は少しずつ現実の形を調整した。必要なものを足し、不要なものを引く。
そしてようやく、夢と呼んできたものが地平線の向こうから近づいてくる気配がする。
来月、バイクと一緒に日本から韓国へ、韓国からロシアへ渡るフェリーのチケットを買った。紙ではなく、メールの中にあるチケット。それでも十分だ。
計画はまだ柔らかい。触れると形を変える。
けれど想像は具体的だ。ロシアの広い大地。モンゴルの草原と砂漠。パミール・ハイウェイの細い線。シルクロードの古い風。
胸の内側で、小さなエンジンが静かに回り続けている。止め方は、たぶんもう忘れてしまった。
いろんな国にって、多様な文化に触れることができて羨ましいです!台湾にもきたことあるなんてなんか嬉しく感じます。内モンゴルに行ったことがあるんですけど、果てのない草原は今でも忘れられない景色です。バイクで走ったらどんだけ気持ちいいんでしょう!Decheeeeさんこれからの文章を楽しみにしてます!
いいねいいね
台湾はほんとよく行きました。今も夜市で食べたルーロー飯の味を思い出します。落ち着いたらまた行きたいですね。モンゴルはまだ行ったことないので感想をしっかりレポートしますね。いつもありがとうございます。
いいねいいね: 1人
貴方は本当に凄い人だ。
いいねいいね
ははは、そんなことありません笑
いいねいいね
Twitterから来ました!韓国経由でロシアまでまだ行けるんですね!ロシアがこんな時でも行けるなんてすごいです。旅の全体像がよく見えないのですが、ロシア→モンゴル→そのあとはシルクロードって事は中国もですか??私もユーラシア大陸横断をしたいと思っていて・・・応援しています!!!
いいねいいね
ありがとうございました。シルクロードの後にヨーロッパに行って最終的にイギリスまで行く予定です。応援ありがとうございます!
いいねいいね