EP007 Eastern Dream

いよいよロシアへ渡る日。Duwon商船の担当者から「10時までに東海港3番ゲートへ」と言われていたので、少し余裕を持って出発した――が、その「3番ゲート」が見つからない。最初に「ここが港だろう」と入ろうとした場所は韓国海軍の施設(軍港?)。あぶない。さらに進むと港らしき施設はあるものの、看板はなく重そうな鉄柵のゲートが閉まっている。違うのか? もう少し先には「4番ゲート」の表示。え、どういうこと? さっきの閉まっていた所が3番? Uターンして戻り、前をうろうろしていたら中から警備の方が出てきて、名前を確認してゲートを開けてくれた。

中に入ると、内側からだけ見える「3 GATE」の英字表示……これは外にも書いてほしい。これから行く方は、S-OILのガソリンスタンドを目印にすると良さそうだ。

まずは未払いだったバイクの運送費を精算するため、Duwon商船の事務所へ。クレジットカード不可とのことで、現金ドルで支払い。料金は時期や情勢で変動が激しいらしく、今回は1,500ドル。戦争の影響でかなり上がっているという。

今回、Eastern Dream号でロシアに向かうのは、車4組、バイクは私とBMW R1200GSAの方の2組、計6組。全員がそろったところで、Duwon商船のスタッフから流れの説明がある。

まず、車両から荷物をすべて降ろす。ロシア側では車やバイクへの個人荷物の積載が禁止で、載っていると正式な輸入手続きが必要になり、時間も費用もかさむとのこと。

荷物を降ろして“素の状態”になったバイクで、スタッフ車の先導に従い税関エリアへ。いよいよロシアに渡るのだと思うと、胸が高鳴る。

手続きはシンプル。韓国税関が車体番号を確認し、釜山港で発行された書類を回収して終了。出ていくものに関しては韓国も概しておおらかだ。キーは挿したまま置いておけば、積み込み・下船時の移動はスタッフがやってくれるらしい。

バイクを預けたら乗船までは自由時間。乗船開始は14時。東海港には小さな売店がひとつあり、両替もできるが、それ以外はほぼ何もない。最寄りの食堂は徒歩10分ほど先の東海駅周辺まで行く必要がある。まだ11時半だったので、散歩がてら駅へ向かった。

東海駅前は港よりは人がいるが、それでも閑散気味。市庁周辺の今どきの韓国的な街並みに対し、こちらは“昔の韓国”がそのまま残っているような趣がある。

駅前のグルメストリートには食堂が5軒ほど並び、その中でいちばん辛くなさそうな「ソンジョン・カルグッス(송정 칼국수)」へ。実は韓国に来てから辛くて熱いものが続き、胃の調子がいまひとつ。今日はやさしいものが食べたい。

創業53年の老舗で、いまは二代目。地元で人気らしく、次々と客が入り、またたく間に満席に。危ないところだった。

注文は「マンドゥ・カルグッス」。韓国式うどんに餃子が入った一品で、珍しく胡椒のキレで味にアクセント。マイルドで実においしい。さすが53年の歴史だ。

港へ戻ると、下ろした荷物は「預け手荷物」として送る必要がある。船内へ持ち込めるのは2個まで。まず各荷物の重さを量り、重量シールを貼ってもらう。それを発券窓口へ持っていき、預け荷物の料金を支払い、搭乗券を発行。荷物はその場で預ける。ここまで来て、ようやく乗船。長かった。

今回の座席はEconomy Class(B)。日本のフェリーをイメージしていたが、少し違う。荷物置き場がほとんどなく、足元に置くと足が伸ばせない。手荷物2個までの制限は、このスペース事情ゆえだろう。

二段ベッドがずらりと並び、満席で人が多い。やや収容所感のある光景が、逆に旅の本格的な始まりを告げているようで、妙に高揚する。

朝から荷下ろしや移動で汗だく。まずはシャワーへ。シャワーブースは4つだけの簡素な造りで、シャンプーやボディソープはなし。さらにこの時間はお湯が出ず、水のみ。ただ、暑かったので水シャワーでもちょうど良かった。

後で知ったのだが、シャワーとは別に浴槽もあるものの、お湯は張られていない。代わりにホースの蛇口からはちゃんとお湯が出る。

大阪→釜山の船では「そこはもう韓国」だったように、東海→ウラジオストクの船内は「すでにロシア」。体格の大きい人たちや存在感のあるタトゥーを見ると、つい映画のワンシーンを思い出す。

客室では落ち着かないので共用スペースへ――が、同じことを考える人ばかりでどこも満席。仕方なくデッキに出て、風に吹かれながらビールを一本。風は次第に冷たくなっていく。北上している証拠だ。波も風も強くは感じないが、船はそこそこ揺れる。潮流のせいだろうか。船酔いの人もちらほら。

夕食はビュッフェで、韓国料理多め。味は普通においしい。ただし食堂への酒類持ち込みは禁止で、注文も不可。酔客で宴会化するのを避けるためかもしれない。食後、バーでビールを一本だけ飲み、就寝。揺れが心地よく、ぐっすり眠れた。耳栓は忘れずに。

長い一日だった。

“EP007 Eastern Dream” への 6 件のフィードバック

  1. いよいよロシア上陸!
    少し心配でもありますが、くれぐれも安全第一でね。デザートX、絵になるバイクだなぁ。

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