EP019 Beyond the Mongolian border

朝5時に目が冷めた。昨日はしっかり休めたのですこぶる調子がいい。朝焼けが美しく晴れているので全てうまくいきそう。と自分に暗示をかける。今日はこの旅初めての陸路での国境超え。実は今まで一回も経験したことがなくてどんなものなのかワクワクするのと不安な気持ちが入り混じる。

二日間の滞在で国境超えの荷物検査に備えて全ての荷物を一旦出してパッキングをやり直した。量が多くても3ボックスやドライバッグ、タンクバッグ、バックパックなどバッグがたくさんあるので種類別に分けられてパッキングにはそれほど時間がかからない。ただ、ちらがっている荷物を見ると少し気が遠くなるだけ。

今日は移動距離はそれほど長くないが、何しろ国境超えがあってその時間があまり読めないのでできるだけ早めにホテルを出た。7時をちょっと過ぎたくらいだったのかな。ウラン・ウデ市内は既に朝の渋滞で混み合っていたが、市外への道は空いていたので難なく進むことができた。2日だけの滞在でも情が移ってしまったのがウラン・ウデを離れるのに少しセンチメンタルになる。

ウラン・ウデらしい壮大な景色が続いていて目は楽しいが、とにかく寒い。朝出発する時はマイナス3℃で日が昇るのにつれて気温も上がるのかと思ったら0℃と2℃の間を行ったり来たり…南に向かっているはずなのにね。グリップヒーターが付いていても指先の感覚がない。

また国境の町キャフタ(Кя́хта)まで約100キロの区間から道がかなり荒れてきた。今までのシベリアの道は荒れていても工事や補修もやっているかやる予定の所が多くそういう区間にはちゃんと速度制限や案内表示があったのにここには何もなくてただ放置されているように見える。たしかに行き来するトラックもそれほどなくて経済的な重要度が他の道路に比べて落ちるのかもしれない。

休憩ポイントがあったので少し休みながら凍った指を解す。シベリアでの休憩もこれが最後。国境が混んでいることを想定して早めに出たが、モンゴル国境へ行く車はそれほど多くなさそう。

いよいよキャフタに到着。国境の町だからか軍部隊や警察?政府関連の人が多いような気がする。服装は違くてもそれらしい雰囲気の人が多い。ちょっと緊張してきた。

ボーダーに入っていくと右側の車線にトラックが隙間もなく並んでいた。乗用車は左側の駐車場の方に行ってその奥に進むと2つに分かれてカスタムを通過するようになっていた。モンゴルの方の車にはロシアで購入したものがたくさん乗っていてそれを全て車から下ろして検査をしていたのでかなり時間がかかった。

検査の様子を見ながら待っていたら前の車の検査が終わってないのにロシアの税関職員が来てバイクを前に出すように指示をした。車の間を抜けて前に進むと建物と建物の間にバイクを停めると指示されたが、傾斜があって停めたらバイクが倒れそう。センタースタンドを出した方がいいのだが、荷物が多くて一人ではセンタースタンドを立てられない。税関職員にそれを伝えて手伝ってもらったら簡単に立てられた。すごいパワー!以前Ducati Hamamatsuでは3人かかりでやっとだったが、二人でできてしまった。そこから全ての荷物を開けて中身を検査、また薬はないのか聞かれたので薬を出したらこれはなんの薬なのかと細かく聞く。3人かかりで荷物を検査していてその厳しさがよく伝わってくる。

荷物の検査がやっと終わって少し安心した所でまた他の職員に呼ばれてカスタムと離れてメインビルの別室に移動した。そこからまたインタビューが始まった。どこに住んでいるのか、ロシアにはなんで来たのか?どこに行くのか?仕事はなんなのか?家族構成は?などなどかなり細かく聞いてそれを聞き終えたらまた上層部に電話で報告をしてきた。威圧感はあまりなくて結構フレンドリーな感じではあったが、こういうインタビューはあまり気分がいいものではない。30分くらいのインタビューが終わってやっと解放されてモンゴル側のボーダーへ。

モンゴルのほうは結構緩かったが、仕事が遅く時間がかかる。また窓口の前で順番を待っていると横から上から下からアグレッシブばモンゴルの方が入り込んで窓口の中に自分のパスポートと書類を投げ込んだ。カスタムの職員も投げ込まれたものを近い順で取って処理してたので自分も長いリーチを利用して一番奥に自分のパスポートの車両登録証を投げ込んで人が入らないようにしっかりガードをしてたらやっと自分のも処理された。強くならないと!モンゴル側では特に荷物の検査などはなかった。イミグレーションまで進んでまた順番待ち。ここはカスタムまでの入り込みはなかったが、やっぱり時間がかかる。

やっと全て終わって外に出ようとした時にまた停められてバイクを駐車しろと言われたのでバイクを停めたらモンゴルの闇両替さんが来てトゥグルグに両替しないかと聞かれたのでとりあえず5,000ルーブルだけお願いした。戻ってきたのは22万トゥグルグ。ウランバートルまで行くにはとりあえずこのくらいあればいいだろう。それをボーダーの職員が見ていてやり取りが終わると隣の建物へ案内された。責任保険への加入を求められて早速先ほど両替したトゥグルグで支払う。

これで全ての手続きが完了して自由の身になってモンゴルへ入国ができた!

ウラジオストクから4,000kmのシベリアの道を走ってようやくモンゴルにたどり着いた。道の上で経験したたくさんのことを思い出す。まあこの旅はまだまだ始まったばかりだし、そんなしみじみしなくていいと思うけどね。

キャフタから南下するモンゴルの道はウラン・ウデと似ているが、何となくより柔らかい感じがする。より牧歌的と言ったほうがいいのかな?放牧されている牛や馬、羊の数が多いせいもあると思うけど平野のなだらかな感じからも柔らかさを感じる。

道は空いていてシベリアのように巨大トラックがないので安心して路肩にバイクを停められる。走ってきた道を振り向いて写真を撮ってみた。あの山々を超えてここまで来たんだ。こういう草原も走りたいね。たぶんこの後、嫌でも走るはめになると思うが…。

ダルハンまでの道はほぼ真っすぐで迷うことはあまりないと思うが、途中からGoogle Mapsのナビがおかしい。周りに建物がないので地図上に表示されるものもないし、真っ直ぐな道なので変わるものがなにもなくて異変に気づいてなかったが、走っても走っても残り67kmと表示されるのでこれは何かおかしい。バイクを停めて見てみると電波が弱くてインターネットが切れていたのでそのインターネット接続が切れた時点でナビが止まったらしい。これは仕様的にかなりまずいな。Yandex Mapsはオフラインになっても地図のデータがなくてもディレクションだけは生きていて最終目的地まで案内してくれたけどね。モンゴルの荒野での迷子は生存に関わる問題なので即ナビをMaps.meに変更した。Maps.meの使い勝手はあまりよくないが、Google Mapsのような問題はない。後、制限速度も表示されるのでそれも助かる(正確さはちょっと落ちるけどね)。後でGuru Mapsの有料契約をした。モンゴルでは周辺のお店などの情報もGuru Mapsのほうが多くて正確だった。

今日のホテルはダルハンのMBM Hotel。ボーダーを超えてからBooking.comで予約した。Booking.comが使えてカードが使えてなんかやっと人権を得たような感じ。それにVPNを使わなくてもLINEやインスタグラム、Fb、Twitterが使える!自由世界に戻ったことを実感した。

Booking.comで予約できるダルハンのホテルが少なかったので仕方なく選んだホテル。無駄に広くて高い…。でもモンゴルでの初日だし、まあいいか。

リビングと寝室が別々でキッチンまで付いているゴージャス仕様。友だち呼んでパーティーもできちゃう。まだモンゴルには友だちがいないけどね。

晩ごはんはホテルのレストランで。周辺にあまりお店がなかったのもあったが、ちょっと疲れたので近場で済ませたかった。夜は飲み屋として営業しているらしいが、お客さんはそれほど多くない。周りのお店に比べるとちょっと高めなのかもしれない。

頼んだのはモンゴルの伝統的な麺料理。羊肉のスープを塩で味付けて刀削麺のような麺が入っていて弾力がある。味も食感もかなり力強さを感じる。寒さをぶっ飛ばしてくれるような力強さ。

それと牛肉の炒め料理。これも牛肉がかなり力があって歯ごたえがある。野生の力を感じる。気のせいかもしれないが、モンゴルの食べ物はすごくエネルギッシュで食べるとすぐ元気が出る気がした。美味しい。

また長い一日だったが、毎日が冒険で何が起きるか分からないから楽しくて仕方ない。明日はウラン・バートル!

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