EP052 Semmering & Rax

ウィーン二日目、この旅を始めてから初めて移動のためではなくてただ楽しむためにバイクを乗る日だ。予定はそれしかないので朝はのんびりと散歩に出かけた。

金曜日ということもあって街に小さく蚤の市が開かれていた。まあ必要なものはあまりないけど見ていると楽しい。こちらの方はクラシックカメラを売っていてその使用法を説明していたが、その格好がクラシックカメラとぱっちり。こういうのが好きな人というのがよく分かる。みんなあまり商売というよりは自分が好きなものを持ってきてそれに興味がある人と話すのが好きな感じだった。天気もいいし、会話も弾むよね。

みんな自転車によく乗っていた。道路の作りも自転車フレンドリーで車だと一方通行が多いので近場だと自転車のほうが便利だと思う。たまにものすごいスピードで暴走している自転車もいてちょっと怖いときもある。

天気がよかったので歩くのが楽しくなってインネレ・シュタット(旧市街)まで行ってみた。まだ朝早い時間だったのでそれほど人は多くなかったので歩きやすい。

旧市街は観光よりも商業施設が多くてたくさんのブランドのお店があった。また自転車で出社しているお姉さんが格好いい。

奥まで行くとシュテファン大聖堂が現れてその繊細さと規模感にまたビックリ。写真に上手く収めたかったが、今のレンズではこれが精一杯。

ちょっと歩きすぎたのかお腹が空いてきたのでCafe Mozartで朝食。いかにもオーストリアらしい名前のCafeだが、朝食のメインはイングリッシュブレックファースト!真っ黒に転けたベーコンや塩っぱすぎる味まで完璧に再現している。

テラス席で優雅に朝ごはんを楽しんだらあまり時間がない!急いでホテルに戻って支度してhenryさんとの約束場所へ向かった。

ウィーンから南に40kmくらい離れたガソリン・スタンドで待ち合わせ。ちょうど約束時間に二台ともほぼ同時に到着した。久しぶりに見るスラクストン、やっぱり格好いい。こうやって二台並べるとそれぞれの良さが見えて面白い。

ガソリン・スタンドのカフェで本日のコースに関してhenryさんからブリーフィングがあった。道の詳細やその良さを説明してくれていてそこを走ることを考えるともう楽しい。

henryさんが気を使ってくれて私の走行動画を収めてくれた。いつも一人で走っているから自分の動画がなかったので有り難すぎる。またスラクストンの排気音は相変わらず重低音が効いていて気持ちがいい。

ちなみにこの日はまたGoproが放電してしまって使えなかった。いつもと同じ環境で充電したのに…アクションカメラなのに色々デリケートすぎる。なので動画は全部henryさんが撮ってくれたものを使っている。

最初の目的地はBurg Forchtenstein。絵に描いたようなイメージ通りのお城で中にレストランがあるのでお昼をそこで食べることにした。ヨーロッパらしい?ヨーロッパでしかできないツーリングでもう楽しすぎる。お城に登る前にビューポイントで記念写真を一枚。

お城までの上りもhenryさんが動画を撮ってくれた。また久しぶりのグネグネ道が楽しい。

入り口からヨーロッパの城らしい貫禄がある。

城からは町全体が見下ろせて領主はここからこの風景を見ながらいろんなことを考えたんだろう。自分の感覚からすると町から離れて山の上に住んでいるとちょっと寂しそうな気もするけど大丈夫だったのかな?

城の一角を改造したレストラン。城の構造に合わせて奥にもテーブルが広がっていて結構大きかった。100人以上入れるスペースがあって週末は結婚式なども行われるらしい。

ポーランドやドイツ、チェコなどでたくさん食べたシュニッツェルは実はオーストリアが元祖らしいのでまた頼んでみた。しかし、その違いはよく分からず…。これに地元の伝統的なビーフスープとハンガリーの肉料理を楽しんだ。そんなにたくさん頼んでないけど密度(?)が高いのかすぐお腹いっぱいになる。

食後はウィーンならではのウィンナ・コーヒー。甘い。

食事の後走り出したら雨雲が付いてきた。ご飯食べるときもポツンポツンと降っていたが、すぐ止んだのでもう大丈夫と思ったらまた結構激しく降ってきた。とりあえずバス停で雨宿り。雨もツーリングの醍醐味!

緩やかなアップダウンが続く北海道美瑛のような美しい畑が多い所を走る予定だったが、雨雲がそっちに行ってるので方向を変えてゼメリング峠へ。

ここは地元でもあまり知られてない穴場スポットらしくて交通量が少ない。それに結構激しめのカーブが続くのでバイクで走るには最高のコースだった。雨で地面が少し濡れていたが、走行しづらい感じでもなかった。ヤビツ峠に近い。

登り切って綺麗なビューポイントがあったので休憩。登山客も多くてアップヒルを楽しんでいる自転車の方も多かった。また雨のおかげで暑くもなくちょうどいい。最高のツーリング日和だった。

また山のほうに上って記念写真を一枚。こういう写真も撮ってもらえて嬉しい。ここがアルプスの東側でここで山が終わってウィーンで平野が広がる感じだった。ここでもアルプスのような雰囲気を感じる。

そこからは伊豆スカイラインのような高速ワインディングロードを楽しんでから地元のライダーたち、峠を攻めきったライダーが集まるKalte Kuchl Alpengasthofで休憩。ここにくるとたくさんのライダーで賑わっていた。ここで少し休んで道を走ってまたここに戻ってきて休憩を取るらしい。

川崎ナンバープレートを見て気になったオーストリアのライダーが声をかけてきた。今まで走ってきた道を説明してもなかなか信じて貰えず。

走った後はやっぱり甘いものが食べたくてケーキを注文。飲料はオーストリアオリジナルの飲料水で結構美味しかった。これも評判がよくてコカ・コーラに買収されたらしい。

この後は高速を使ってウィーンに戻った。この時だけなのか分からないが、金曜日の夕方なのにあまり渋滞してなくてかなり快適だった。

ウィーンに戻ってhenryさんが晩ごはんまで一緒に付き合ってくれてウィーンの老舗ラーメン屋のカルマラーメンへ。元々は日本人がやっていたラーメン屋らしいが、今はオーナーが変わっているのかもしれない。ラーメンはちゃんとした日本のラーメンで美味しかった。

食事の後、henryさんはここから1時間距離の自宅まで走っていた。もう本当に感謝しかない。

1万8千キロを走ってここまで来た甲斐があった。

EP051 Wien

オーストリアには山があった!山があることで地形にこんなにもバラエティをもたらしてくれることを今まであまり意識したことがない。

ポーランドからドイツ東部、チェコに至るまでほぼ平野で起伏がなくて真っ直ぐな道が多かったので正直にバイクを乗っていてもあまり楽しくない。すごく眠い道。車は移動した後が楽しくてバイクは移動している時が楽しい乗り物だと思っていたが、最近は移動だけが目的になっていたような気がする。

ドイツはまだ道の設計が優れていてメリハリを与えてくれたのでまだマシだったが、チェコはコンクリートの道が多くてこれがまたグリップが弱くて滑るイメージがあってちょっと怖かった。また縦溝のようなのが入ってたりしてバイクで走るにはあまり相応しくない。ちょっと辛いなと思った時にオーストリアに進入した。

すると道がガラッと変わった。何よりオーストリアには山があって丘があって複雑なカーブとアップダウンを作ってくれているので走るのがすごく楽しい!こんな道を待っていた!少ししか走ってないのにもう楽しい。一瞬で眠気が去って体がイキイキし始めた。またオーストリア西部にはアルプスの山々があって湖があってバイクに走るには最高らしい!もう期待しかない。その前にウィーンで少しゆっくりしながらメンテナンスをしよう。

ホテルに着いてバイクを停めたらこちらの方々が声をかけてくれた。「本当にバイクで日本から来たのか?」と「すごいね!」、「頑張ってね!」と応援してくれて嬉しかった。また自転車に乗っていたお兄さんもサムズアップをしながら通っていて色々歓迎されているようでまた嬉しい。

今回泊まるホテルはモダンなデザインのブティックホテルな感じだが、実は決め手はそれではなくて施設内にちゃんとした駐車場があったから。もう人はどうでもいいのでバイクを安全な場所に停めたかった。最初ホテルから駐車場には13台しか停める場所がないので確約はできないと言ったが、ドレスデンでの盗難事件プラハでの別ホテルの駐車場の利用の話をしたら快く駐車スペースを確保してくれた。シャッターがあってセキュリティでちゃんと管理されている地下の駐車場なので安心。

楽しくなっちゃってオーストリアに入ってからは休憩もせずホテルまでノンストップで走ったのでチェックインを済ませてシャワーを浴びてから近所にご飯を食べに。ちゃんとしたオーストリアの伝統的なレストランに行くつもりだったが、すぐ近くに雰囲気のいい小さいワインバーが昼からやっていたのでついつい入ってしまった。赤ワインと軽食のサンドイッチを一緒にいただいた。ここでは頼まなくてもお水をくれる!これは嬉しい。

ワインが美味しすぎたのでどんなワインなのか聞いてみたらオーストリアワインで葡萄もオーストリアだけの品種らしい。香りもよくて深い風味があって美味しかった。そういうば日本ではあまりオーストリアワインって聞いたことがないな。後で聞いたらオーストリアワインはほぼ国内で消費されて海外には輸出されないらしい。

ウィーンではバイク乗りも多かった。やっぱり山があって道が楽しいからかもしれない。昼間は30℃近くまで気温が上がって夏を感じる天気だったが、半ズボンでバイクはちょっと危ない。バイク用の服をちゃんと着ましょう。

ホテルに戻ってパニアケースとドライバッグを部屋に持っていって洗って汚れを落とした。またゴアテックスのジャケットとズボンも初めて洗った。これがなかったらシベリアとモンゴルの厳しい道を通れなかったかもしれない。その感謝の気持ちを込めてしっかりと洗った。本当にありがとう。

その後はオペラハウスへ。これを見に行ったわけではなくてここで人と待ち合わせの約束をしている。やっぱりインパクトあるね。ポーランド、ドイツ、チェコ、オーストリア、似ているように見えてそれぞれの国や都市によって雰囲気が全然違うのが面白い。

今日お会いするのはhenryさん。以前インスタグラムで知り合ったスラクストン乗りの方で当時同じスラクストンを乗っていたので仲良くなった。実はスラクストンもマニアックなバイクで乗っている人がそれほど多くないので同じバイクを乗っている人とすぐ仲良くなれる。実際会うのは今回が初めてなのに図々しく日本からの小包(中身はDesertXの純正ミラー!)の受け取りをお願いして持ってきてもらった。なので遠くからでもすぐ特定ができた。

なんとhenryさんが私のために和食のお店を予約してくれた。それも本物の和食のお店!これは嬉しすぎる!今まで行った都市ではいくら探してもなんちゃってJapanese Foodしかなかったのでこれがこの旅初めての刺し身!!一切れ一切れを大事に食べる。

それに夢にまで見ていた日本酒!刺し身と日本酒がある。これは最高すぎる。

後、豆腐!日本では当たり前すぎてなんとも思わなかった豆腐がこんなに美味しくて大事に思われたのは初めて。豆腐があってもここまで完全な日本式の豆腐は初めて。本当に美味しい。

色々美味しすぎたので酒も進む。日本酒もたくさん種類があって順番で升酒を頼んで楽しんだ。久しぶりに少し酔ったかもしれない。

〆は鉄火丼。これもちゃんとした和食の丼!変なソースとかかけられてなくてマグロの美味しさだけを楽しめる正真正銘の鉄火丼であった。全部美味しい。美味しすぎる!

もうhenryさんには感謝しかない。この日初めてお会いしたのに初めてな気がしないんだよね。明日はまた一緒にツーリングに行く約束をした。もう本当にありがとうございました。

henryさんが帰った後にオーストリアワインを飲んでみたくてhenryさんに教えてもらったWine&Coへ行った。ここはワイン専門ショップで売り場の一角にワインを飲めるスペースがあってグラスで楽しめる。日本のEnotecaと同じ感じ。

スタッフさんオススメのワインをいただいたが、これもまた非常に美味しかった。オーストリアワインってその基本レベルが非常に高くて十分楽しめる。次はピノ・ノワールを探してみよう。

ホテルに戻って早速ミラーを交換した。純正ミラーのほうがクラシックミラーより約1.5倍くらい大きい。これだけ差があるとやっぱり視野も全然違う。これでより安全運転ができる。

また明日のツーリングが楽しみ!

EP050 Praha

ドレスデン警察署を出てすぐプラハに行きたい所だが、また寄る所があった。以前Ducati Mongoliaで知り合ったDucati本社勤務のFedさんにクルーズコントロールの問題を相談しながらドレスデンにいると伝えたらDucati Pirnaに行ってみてと言われたのでとりあえず向かってみた。

着いて話したらメカニックの方をを紹介してくれたので症状を話したらすぐチェックしてくれた。

Žilvinasさんがホコリや雨水などによるスイッチの物理的な問題じゃないかとアドバイスしてくれたのでそれをメカニックに伝えてスイッチの部分も掃除してもらった。

その後はテスターでエラーがないのかチェック。Ducati Polskaで見てもらった時と同じく電子的なエラーは一つもなくて綺麗だった。もうこれ以上やれることはないのでこれで直って欲しいけど…解決できたかな?

急な訪問にも関わらずすぐ対応してくれたDucati Pirnaの皆様に感謝します。

Ducati Pirnaを出てそのままプラハへ。距離も近かったので高速ではなくて一般道路で行ってみた。ドイツの田舎道はやっぱり気持ちいい。走って楽しい。と思ったらすぐ町が出てきて混んできたし、ずっと高速の横を走るようなコースだったのでそのまま高速に乗ってしまった。

高速に乗ったらプラハまではあっという間。市内に入るとまず渋滞がすごくて都市の規模よりも行き来する車が多い気がした。観光客はもちろんトラックなども多くて活発な感じ。街並みはさすプラハ、ヨーロッパの雰囲気そのものだった。ドイツから100kmくらいしか離れてないのにその雰囲気が全然違っていて面白い。

今回予約したのはK+K ホテル セントラル プラハ。せっかくのプラハだし、少しいいホテルに泊まってプラハを満喫しようと思って部屋もCozy Garden Viewという少し上のランクの部屋を予約したが、部屋に入ってみるとなんか暗い。

おかしいと思って窓を見てみると、なんと隣で工事をやっていてガーデンビューところか光も入ってこない。これをCozy Garden Viewと謳って高い料金で販売しているとは!

すぐリセプションに行ってコンプレイン入れたら他の部屋に交換してくれたが、この部屋は光が入ってきてもサイズが小さくて予約した部屋より下のランク…。まあ仕方ない。これは我慢しよう。

しかし、このホテルにもう一つガッカリしたポイントはホテルに駐車場があるというから予約したのにこのホテルには駐車場がなくて歩いて10分くらい距離にあるマリオット・ホテルの駐車場を利用するようにと言われた。それもちゃんと書かないとダメでしょう。プロテクターをたくさん付けたバイク用の服装でこんな暑い日に荷物をたくさん抱えて徒歩10分はキツいって。

ちょっとイラッとしたが、せっかくのプラハを満喫しようと街に出た。

さすがプラハ、たくさんの観光客で賑わっていてどこに行っても人で溢れている。今まで見てきた東ヨーロッパのどの都市よりも商売気が強い気がする。

プラハには期待も大きくてもしよかったら連泊しようと思ったが、明日はオーストリアへ。

EP048 Dresden

ベルリンからドレスデンまでは200kmも離れてないのでのんびりと朝を始めた。ホテル近くに朝7時からやっているスーパーがあったので朝ごはんのベーグルサンドイッチとコーヒーを買ってきて朝ごはんを食べながらブログを更新。ホテルの居心地がよくて結構寛げる。でももう出発しないとね。

ドレスデンに向かう前にベルリン中央駅近くにある写真屋さんに寄ってルブリンで落として割ってしまった偏光フィルターを購入した。せっかくのドイツなのでドイツ製のB+Wを選んだ。

ドレスデンに向かう道はほぼ高速だったが、20kmくらいを残してグーグル先生が気を利かしてくれて小さい田舎道へ案内してくれた。最近は都会ばかりだったのでこういう自然豊かな田舎道が嬉しい。田舎でもさすがドイツ、家はもちろん、家と家の境目や道や川の管理など抜かりがない。

ドレスデン市内に到着して広場の地下にあるかなり広い共用駐車場にバイクを停めた。この辺に車でくる観光客やホテルの宿泊者は全てそこに車を停めるようになっていた。地上に駐車スペースがないのはもちろん街そのものがあまり車で回れるようになっていない。その代わり自転車には優しい。

駐車場にバイクを停めて事情に出てくるとまず目に入るのがこのHoly Cross Church(Kreuzkirche Dresden)。どこでも見たことのない色のコントラストがすごくてそのインパクトがすごかった。この時はまだなんでこういう色をしているのかが分からなかった。

ドレスデンまでのんびりゆっくり来たがそれでもまだホテルのチェックインまで時間が残っていたのでホテル近くの美味しそうなレストランでお昼を。まずはドイツの黒ビール!ドイツ語は読めないので(読めても分からなかったと思う)感で頼んだ黒ビールがゴクがあって美味しい。

またチキンフィレのシュニッツェルも柔らかくて最高の揚げ加減で美味しかった。パスタも最高。ただ、量が想定よりも2倍くらいあって食べ切るとちょっとしんどい。

3時になってまずホテルにチェックイン。今日泊まるのはクオリティ ホテル スター イン プレミアム ドレスデンで施設が綺麗で使いやすいのはもちろん中心街からも近くて選んだ。最近はhotels.comをよく使っているけど行く場所とよさそうなホテルをチェックしてから半日から一日経って見てみるといい条件のセール価格を提示してくれるので嬉しい。

ホテルの部屋からはHoly Cross Churchがよく見える。ただ、その分教会からの鐘の音が結構響く。

街に出てみると黄色いトラムが印象的。ベルリンも同じ色合いのトラムが走っているが(ドイツでは全部同じ色なのか?)この街はトラムがメインの共通手段でその数が多いので自分の中ではドレスデンというば黄色いトラムのイメージが付いてしまった。トラムの機能的でシンプルなデザインも結構好き。

道を渡ってシュロス通りに入るとドレスデン城が目に入ってテンションが上がる。またこの古い建物と新しい建物の調和がドレスデンを象徴している。

ドレスデン城も古い建材と新しい建材が混ぜられていてモザイクのような感じ。

中へ入ってもやっぱり同じように新古が交わっていてまた中の設計はモダンな建築手法を加わっていてなかなか斬新なものだった。

よく見ると古い建材を極力使うための尋常ではない必死の努力がされている。なぜなのか気になって調べてみた。

ドレスデンは第二次世界大戦で連合軍の大規模の爆撃にあって都市が焼け野原になってしまった。その廃墟になってしまった文化遺産を東ドイツ時代には修復の予算などがなくてそのまま放置されていた。西と東ドイツが統一してようやく本格的な修復を始めたらしい。そこから住民たちが修復の日のために密かに40年以上保管していた建材を集めて修復作業を進めたらしい。なのでブロッグ一つ一つに込められた思いが全然違うのだ。

それを知ってから見るとまた全然変わってくる。カトリック旧宮廷教会のそのディテールや形式美が美しい。

こちらのFürstenzugは爽やかでかなり鮮明で今印刷を終えたような感じだったので後から復元したものかと思ったら奇跡的に空襲からその被害を受けてなかったらしい。またタイルに絵を描いたものなので色褪せることなくその綺麗さを保っているらしい。

ここは裁判所の建物なのかな?この建物からその空襲当時の火の海のような光景が想像できちゃうくらい焦げた色をしていた。今でも火の煙が見えてきそう。

アウグストゥス橋にはなぜか北斎の神奈川浪裏が!なんの説明もなくて波だけを切り取っていた。みんなここで記念写真を撮っていたが、川にこういう波のイメージは合わないような気がする。

こちらは聖母教会。古い建材より新しい建材のほうが多くて空襲の激しさを物語っている。この教会はプロテスタントの中心的な、その最高教会らしい。

プロテスタント教会はこのマルティン・ルターの宗教改革によって始まったが、マルティン・ルターの出生地がこのドレスデンが首都だったザクセン王国だった。なのでこのドレスデンの人たちに取ってマルティン・ルターと聖母教会が持つ意味は我々では想像できないくらい大きいものらしい。空襲終わって真っ先に復元されたのがこのマルティン・ルターの銅像だったそう。

街を歩いているといろんな所でドイツ人の強迫観念に近い仕事ぶりを見ることができる。今までどの国でも見たことがない。やっぱりドイツ人はすごい。あの標識そのものも全てきちんとスペースとグリッドを簡単(?)に合わせられるように数字の板をはめる形式になっているし、またその標識を壁に水平・垂直・間隙を合わせて一寸の狂いもないように設置している。もうこの完成度だけでも次仕事を頼むならドイツ人に頼みたい。

ドレスデンはなんの情報もなくてふらっと寄った所だが、見て感じて調べるとまた自分の中が広がる気がした。これが旅の楽しさであるのかもしれない。毎日新しいものを見て新しいことを感じているこの世にないような贅沢をしている。世界はまだまだ広い!

明日はチェコのプラハに行く。

EP047 Berlin

ヴロツワフからベルリンまでは約340kmとちょうどいい距離。それほど急ぐ必要もなかったので朝はのんびり支度をして9時くらいにホテルを出た。ヴロツワフ市内はそれほど渋滞もなくて市街地を出るとすぐ高速に乗れて順調に進んだが、約100km進んだ所で大規模な道路工事をやっていてしばらく通行止め。様子を見に前へ行ってみると工事関係者がバイクは先に行けと通行を許可してくれたので誰もいない工事区間を一人で数十キロ走ったが、これもなかなか面白い経験だった。ゾンビで人類が滅亡した後、一人だけ生き延びて旅をしているような感じ。

工事区間も終わって順調に走っていたが、一瞬流れが変わった。周りの車の動きを含めて何かが変わったが、うまく説明できない。ただ、今ドイツに入ったと直感した。道が与えるテンションが違うというか、今まで退屈で眠かった高速道路が急に引き締まった感じで緊張感が出てライディングが楽しい!どうしてこうなるのかはよく分からないが多分道路の設計やラインの取り方が全然違うような気がする。私だけではなくてみんな急にイキイキと走り出して面白かった。さすが、自動車王国ドイツ!

順調に走って13時をちょっと過ぎてホテルに到着。チェックインは15時からだったのでとりあえずバイクをホテル駐車場に停めたくてリセプションに相談したら駐車場だけ先に使わせてくれた。駐車場は1日で追加料金19ユーロ。駐車場にバイクを停めてそこで着替えてから街に出た。今回のホテルはベルリンのど真ん中にあるのでどこも歩いていけるのがいい。

まずはベルリンの象徴、壁。実はわざわざ見に行ったわけではなくて中心街の一角にモニュメントとして設置されていた。ベルリンの壁が崩壊したのは自分が中学1年の時でその時のインパクトや強烈なイメージは今でも鮮明に覚えている。また壁の上に登ってつるはしで壁を壊そうとしていた若者たちの映像も未だに忘れられない。これから世の中が急激に変わるということが子どもながらもすごく感じた。その壁を今こうやって見ることができてちょっと変な感じ。

ここは冷戦時代に使われていた米軍のチェックポイント。この周辺は観光地として開発されて周りは全部お土産屋。この建物は冷戦時代を背景にするスパイ映画とかでよく出るよね。実際にこうやって残っているのは始めて知った。

ベルリン市内を歩いていると自分が今見ている景色が現実なのかそれとも3Dで描いた架空の世界なのか分からなくなるような瞬間がある。建物のデザインも素晴らしいがその施行にも一寸の狂いもなく全てが完璧すぎる!特に直線が多く機能的でモダンなデザインが多く、グリッドが合っているので非現実味が増すのかもしれない。この完成度はやばい。今まで世界中のたくさんの都市に行ったことがあるけどこんなのは始めて見る。SF映画のような世界観。

後、ドイツといえばベンツタクシー!本当にあって普通に走っていた。タクシーのこのクリーム色もね。でも実は街を走っているのタクシーの多くはプリウスや日本車のほうがより多かったような気がする。やっぱり採算が取れるのは日本車かな。

そういえばベルリンは市内中心部でLow Emission Zones制度を実施していて車の場合環境性能を表すステッカーを貼る必要があったが、バイクはその対象外だった。ヨーロッパの他の国でもバイクはだいたい大丈夫そう。ちなみにDesertXはユーロ5に準拠しているらしい。

ベルリンに行ったらまず見に行きたかったブランデンブルク門。実際に見るとその規模感がすごいのだが、写真ではそれがうまく伝わらなくて残念。高さは26m、幅は65.5m、奥行きは11mもあるので約9階建てのビルくらいかな。ここもたくさんの人で賑わっていた。ヨーロッパの方はもちろんインドや中国、アジア系の方もちらほら。

こちらは国会議事堂。ここもまたものすごい大きさで、なんというかな、建物が与える権威と威圧感がすごい。

こちらはベルリン中央駅。京都駅とも少し似ている部分もあるけどあまり駅っぽくなくて最初は不思議な建物だと思ったら真ん中の建物の中央部分に電車が通過するのが見えて駅というのが分かった。ベルリンは第2次世界大戦で焼け野原になってから再生されている都市なので他のヨーロッパの都市とは違う独特な雰囲気がある。

ベルリン市内散歩を終えてホテルに戻ってチェックインして荷物の整理とシャワーを浴びてからまたホテル周辺散歩に出かけた。実はスーパーやコンビニを探して買い物をしたかったが、この日はWhite Mondayで多くの小売店がお休みだった。White Mondayがなんの日なのかは分からないが、ここでもまたGoogle Mapsの営業時間情報に翻弄されてしまった。正しい情報は大事!またかなり歩き回ってもうこの近所でやっているスーパーはないということが分かったのでよさそうなレストランに入って食事をすることにした。

この店に決めたのは老舗感とこの一面ワインで飾られているインテリアが素敵だったから。あのワインたちはディスプレイということは分かって入った。でもあれだけワインを主張していることは結構ワインリストが充実していると思ったから。

席は道路側のテラス席に案内されたが、ここはもうあまりテラス席を作る幅がないのに無理やり作った感じで行き来している人たちとすごく目が合う。

ワインリストが多いと予測したが、それほど多くなかった。頼んだのはドイツ産のピノ・ノワールワインで香りや風味などは少し薄めで力が足りない感じだったが、この旅に出てから初めて飲む久しぶりのワインだったので一滴一滴お味と香りを楽しんだ。ヨーロッパに来ると美味しいワインをたくさん飲めると思ったが、やっぱりフランスまで行かないと駄目なのかもしれない。

後、パスタ!これは久しぶりに食べるイタリア正統派のパスタで麺の茹で加減、ソースの深み、ガリックとトマトのバランス、全てが完璧だった。美味しい。

食事の後はホテルに戻って部屋で寛ぐ。もう時差にも随分慣れてきたし、ドイツまでくるとロシアやバルト三国よりは日が短いので寝やすい。

明日はドレスデンに行く。